籠の中の鳥は(H30.2.22修正) −−−−−−−−−− |PL向け卓前情報| −−−−−−−−−− 【シナリオ内容】 現代日本。 日常を過ごしていた探索者達は、何者かに襲われ意識を失います。 しばらくして――目を覚ましたのは木造の一部屋。 周囲には、同じように目を覚ました数人の男女。 果たして探索者たちは無事に帰ることができるのでしょうか? 【想定プレイ時間】 1〜2時間(オフラインセッション) 5時間弱(テキストセッション) 【シナリオ傾向】 クラシック 難易度:★★☆☆☆ 【プレイ人数】 3〜4人 −−−−−−−−−− |KP向け卓前情報| −−−−−−−−−− 【KPの情報】 探索者たちは、アイホート(基本ルルブP202)の雛の苗床として狂信者に攫われました。 アイホートの機嫌を取り、アイホートに関わる魔術書を手に入れるためです。 儀式によってドリームランドに連れて行かれ、アイホートと契約させられた探索者たちは、古ぼけた木造の一室で目を覚まします。 このままでは、例え単純に脱出したとしても数年後には探索者たちはアイホートの雛に殺される運命です。 これを避けるためには、アイホートの雛を取り除いた上で脱出する必要があります。 −−−−−−−− |キーパー資料| −−−−−−−− ☆キーパー資料1 【プレイヤー資料1全編】 A「籠の中の鳥は目覚める B「贄になったと知ることもない A「籠の中の鳥は喚く B「恐ろしい光景が脳裏に浮かぶ A「籠の中の鳥は歌う B「絶望の中に祈りを捧げ A「籠の中の鳥は巣立つ B「贄は捨てられ朽ち果てる これは、Aの「アイホートの雛の行動」とBの「生贄となった人間の行動」を対応させて書いた詩です。 ☆キーパー資料2 【プレイヤー資料4呪文解説】 @アイホートの雛を移植する 1d3のSAN消失 1d6のMP消費 この呪文は、アイホートの雛を他の人間に移し替えるために用いる。 この呪文を使うには、二人を正対させ、術者は左手で雛を取り除く人間に、右手で移植先の人間に触れる。 呪文を唱え終わると、左手で触った人間から雛は取り除かれ、代わりに右手で触った人間の体に入り込む。 この呪文によって雛を取り除かれる人間に害が及ぶことはないが、 移植先の人間は、3人以上の人間から雛を受け入れると、腹がはちきれ雛が溢れ出すことになる。 溢れ出した雛は、人間に見つからないようにどこかへと去っていく。 A雛を成長させる 1d3のSAN消失 1d3のMP消費 アイホートの雛に取りつかれた人間自身がこの呪文を唱えれば、アイホートの雛を育てることができる。 この呪文を唱えるとアイホートの雛は急激に育ち、頭の中で歌う。この時、取りつかれた人間は猛烈な頭痛に襲われる。 そして間もなくアイホートの雛は取りつかれた人間の腹を食い破り、巣立つことになる。 −−−−−−−−− |プレイヤー資料| −−−−−−−−− ☆プレイヤー資料1 【本の一節】 籠の中の鳥は目覚める 贄になったと知ることもない 籠の中の鳥は喚く 恐ろしい光景が脳裏に浮かぶ 籠の中の鳥は歌う 絶望の中に祈りを捧げ 籠の中の鳥は巣立つ -------------------------- (破れていて、この先は読めない) ☆プレイヤー資料2 【死体の傍の殴り書き】 誰かが頭に囁きかける。 痛い、痛い、頭が割れる! ちくしょう、あの紙切れの合言葉のせいか? 扉を開くためのだと思ったんだが…… ☆プレイヤー資料3 【「夢の不思議」の記述】 夢の国には不思議な怪物がいる。 青白く楕円形の怪物は、人に契約を迫る。 断れば即座に殺される。契約すればゆっくりと殺される。 夢とは不思議なものだ。覚醒の世界には持ち込めない記憶も、夢の世界には残っているのだから。 ☆プレイヤー資料4 【男達の持っていた本の記述】 深い深い井戸の底に楕円形の神はいる。 雛の苗床になるか、その場で殺されるか。 慈悲深い神は二つを選ばせる。 宿った雛は数年の時をかけて宿主の中で育つ。 そして、充分に育った雛は宿主の腹を食い破り外の世界に旅立っていく。まるで、鳥が巣立つように。 [載っている呪文] @鳥籠の交換 この呪文は、雛を他の籠に移し替える。 術者は二つの籠を正対させ、左手で古い籠に、右手で新たな籠に触れる。 呪文を唱え終わると、雛は古い籠から新たな籠へと移動する。 鳥籠の交換によって古い籠が壊れることはないが、 いくつもの籠から一つの籠に雛を移すと、籠が壊れ、雛が逃げ出してしまうことがある。 A雛を成長させる 籠自身が呪文を唱えれば、雛を育てることができる。 雛は歌い、籠は呻く。 そして雛は巣立つだろう。 【本編】 --------------------------------------------- 1.【目覚めた部屋】 キーパーは卓の開始時に、探索者たちに持たせたくないアイテムについて没収して構いません。 没収されたアイテムは、男達のいる部屋(7.狂信者との戦い)の戸棚の中に収納されています。 探索者たちは、木造の小さな一室で目を覚まします。 部屋はぼんやりと明るく、外国の香のような甘ったるい匂いが漂っています。 (香の匂いの正体は、眠った者をドリームランドへ導く麻薬です) 家具は古ぼけたベッドが(探索者の数+1)つに、に机が1つ。机の上には一冊の薄っぺらい本が広げられています。 天井には今時珍しい白熱電球。 部屋の奥には扉があり、どこかに繋がっているようです 探索者たちが本を読む選択をしたのなら、図書館技能を振らせてください。 成功した場合、プレイヤー資料1を与えてください。 同時にSANチェック1/1d4と神話技能4%を与えます。 また、誰も寝ていなかったベッドを調べると、短く茶色い髪の毛が落ちています。 ---------------------------------- 2.【広間】 扉を開けようとすると、探索者たちの頭の中で喚くような声が響きます。 その声に誘発されるように、探索者たちは幻覚を見ます。 虫が自分の腹を裂き、飛び出してくる光景。それは実物と感じるほどに質感ある映像でした。 1/1d3のSANチェックをしてください。 さて、扉を開けると大きな部屋に出ます。 電球はなく、並べられたろうそくの炎で部屋の中がうっすらと見えています。 部屋の中央には奇妙な像が祭られています。 楕円形の体に、無数の細い足。これを見た者は、背筋がぞわりとするような嫌悪感を覚えます。 (※これは、アイホート(基本ルルブP202)の像です。 狂信者たちが信仰している神格が、このアイホートです。 この像の前で狂信者たちは探索者たちをドリームランドに連れて行く儀式を行いました) 像の前には紙片があり、妙な韻を踏んだ呪文のような文字列が書かれています。また、「アイホート」という単語が何度か文字列の中に入っていることが分かります。 (※この呪文は、プレイヤー資料4のA『雛を成長させる』の呪文です。使用すると頭の中で歌うような声が響いた後、雛に腹を食い破られて死亡します。 廊下で死んでいる男は、この呪文を使って死亡しました) また、部屋の奥にはまた扉があります。 ---------------------------------- 3.【廊下】 扉を開けるとそこは廊下です。 廊下には灯りがなく、真っ暗です。 そして、短髪で茶髪の男の死体が転がっています。 灯りをつけずにこれを踏むと1/1d6のSANチェック、灯りをつけていて事前に発見した場合は1/1d3のSANチェックです。 この死体を調べると、腹部を裂かれたような傷跡が見つかります。 「医学」を使用すると、この傷が「中から裂かれたもの」だということが分かります。 遺体の傍には、メモが落ちています。 これを読んだ場合、プレイヤー資料2を手に入れます。 (目覚めの部屋のベッドに落ちていたのは、この男の髪です) この廊下の先には木製の扉がありますが、鍵がかかっています。 ただし、STR20との対抗ロールに成功すると無理やり扉を破ることができます。(もちろん、何らかの方法で用具を揃えて<鍵明け>や<機械修理>をしても構いません) ---------------------------------- 4.【書庫】 鍵のかかった扉を開けると、そこは小さな書庫のような空間になっています。 書庫には本棚が並べられています。 本棚を調べると、「夢の不思議」という本が置かれています。(プレイヤー資料3) また、この部屋の隣には小さな物置部屋があります。 物置の中には鉈やスコップなどが置いてあります。また、ビルマ語の雑誌が積んであります。 これらの道具を利用すれば、木造建築の壁を破ることは容易なことです。 (ただし、ここまで来た探索者には、そのまま逃げることの危険性が薄々分かっていることでしょう) 書庫には更に先の部屋に続く扉がありますが、探索者が<聞き耳>に成功すると扉の先から人の声がすることが分かります。 ---------------------------------- 5.【眠る】 探索者たちが目を閉じ眠ると、夢を見ます。 深い深い井戸の底。 青白い楕円形の「それ」は、肉のついていない無数の足を蠢かせてあなたを壁際に追い詰める。 ゼリー状の目が、まばたきもせずあなたを見つめる。 その目を見ていると……ぼんやりと記憶が戻ってくる。 あなたは東南アジア系の顔立ちをした二人に連れられ、ここにやって来た。そして、この怪物と契約させられた。 すると、いつの間にか目の前に古ぼけた分厚い本があった。 あなたの前で男達はそれを手に取ると、無表情のまま立ち去った……。 そこで目を覚まします。 眠っていた探索者は、1d6/1d20のSANチェックです。また、5%の神話技能を得ます。 ---------------------------------- 6.【狂信者との戦い】 扉の向こうでは、東南アジア系の顔立ちをした男二人が組み合っています。 その奥には開いたドアがあり、外の景色が見えます。今は深夜のようです。 彼らの言葉を理解するためには「その他の言語(ビルマ語)」が必要です。 ビルマ語技能に成功すると、男達の会話から、小男が懐に本を持っている事が分かります。 男達はあまりに興奮しているため、周囲には気を配っている余裕はないようです。 忍び足の5倍、もしくは隠れるの5倍ロールに成功すれば、気付かれずに脱出することができます。 また、もしも男達が気付いた場合でも、男達は探索者たちを気にしません。 狂信者1(小男) STR13 DEX12 INT12 アイデア60 CON18 POW13 APP10 幸運65 SIZ10 SAN0 EDU14 知識70 DB+0 HP14 MP13 サバイバルナイフ:80% 1d4 狂信者2(大男) STR11 DEX10 INT10 アイデア50 CON9 POW15 APP10 幸運75 SIZ17 SAN0 EDU12 知識60 DB+1d4 HP13 MP15 鉄パイプ:80% 1d6+db ---------------------------------- 7.【本】 小男の持ち物を調べると、本が見つかります。 しかし、この本には表題がありません。 探索者が本を読んだ場合、プレイヤー資料4を与えてください。 この本には、日本語を含めた数種類の言語で文章が書かれています。 本に書かれた呪文を使用すれば、アイホートの雛を移植することができます。 捕えた狂信者の二人を犠牲にすると良いでしょう。彼らの自業自得です。 さて、脱出した探索者たちが振り返ると、そこは町外れの廃屋だったことが分かります。 それぞれが帰宅の途についた所でシナリオは終了です。 ---------------------------------- 8.【雛を取り除かずに脱出した場合】 探索者たちは無事帰宅することができますが、毎日悪夢に悩まされることになります。 そして―― ---------------------------------- 9.【正気度報酬】 雛を取り除いて脱出 全員生還1d6 狂信者を退治した1d3 アイホートの雛を取り除いた1d10 雛を取り除かずに脱出 日々の悪夢 −1d20 雛を取り除けなかったため、日々の悪夢に悩まされることになります。 また、1d100ヶ月後には雛が探索者の腹を破って出てきます。 このキャラクターは探索者として引き続き使うことができますが、以降のシナリオでは体の中にアイホートの雛が残ったままになります。 ★最後に★ シナリオを利用したリプレイ及び動画等の二次創作については、シナリオタイトル及びシナリオ製作者の情報を明記することを条件に許可します。 シナリオ製作:#6(永久パピルス) http://brainmixer.net/yibbtstll.html 永久パピルスでは、ボリュームたっぷりなシナリオ集をメロンブックス様で販売しています。 『イブ・ツトゥルの景象』B5/120P/価格1000円 (https://www.melonbooks.co.jp/detail/detail.php?product_id=135762) 『バグ・シャースの侵蝕』B5/108P/価格1000円 (https://www.melonbooks.co.jp/detail/detail.php?product_id=169929)